磁気誘電効果は、基礎物性および新しい多機能電磁デバイスへの応用の可能性など、注目を集めている。本論文では、Mg-フッ化物ベースの誘電体マトリックスにナノメーターサイズの Co 金属グラニュールが分散した微細構造を有するナノグラニュラー膜について、その構造に起因した新しい誘電現象について報告した。本研究によって、ナノグラニュラー膜の誘電緩和における緩和周波数 (fr) が、DC 電場 (E) によってコントロールできることが明らかとなった。Eが増加すると、Eが小さいときはfrが低周波側にシフトし、Eが大きくなるとfrが高周波側にシフトする。この様に、Eを調整することによって特定の周波数範囲に fr をコントロールすることができる。ここで明らかとなった、緩和周波数を電気的に調整できる効果は、例えば、新しい調整可能な周波数フィルターの構築に役立つ可能性がある。さらにこの現象は、理論的に、グラニュールペアのサイズの違いを考慮した非対称電子トンネリングモデルによって説明できることを明らかにしました。