現在と次世代を担う研究テーマ
研究開発事業の内容
本法人は、本法人の設置目的を達成するため、公益目的事業として「電磁に関連する機能材料およびデバイスの研究開発ならびに試作に関する事業」を行っています。本事業は、現在はもとより、次世代社会においても重要な情報・環境・健康・福祉・安全分野の発展を支える電気・電子機器の高性能化を図るための基盤とも言うべき材料およびデバイスに関するもので、その重要性および必要性は、今後一層増すものと予想されます。
本法人の2021年度末までの研究開発事業は、2016年11月の臨時理事会で承認された前中期事業計画(2017年度から2021年度末までの5年間の計画)に則り、研究開発事業部の新機能材料創生部門、デバイス用高機能材料開発部門および次世代デバイス開発部門ならびに素形材開発施設およびデバイス開発施設で進められ、多大なる成果を挙げてきました。例えば、新機能材料創生部門では、ナノグラニュラー薄膜材料のナノ構造およびナノ境界層に起因する磁気誘電効果および優れた磁気光学効果の発見、デバイス用高機能材料開発部門では、高感度応力ひずみセンサの開発および複合層構造を持つ鉄酸化物光触媒材料の開発、次世代デバイス開発部門では、生体神経を伝搬する刺激信号を検出するデバイスおよびウェアラブルデバイスとしての靴底反力センサデバイスの開発などが挙げられます。また、素形材開発施設およびデバイス開発施設では、研究開発成果の実用化を推進するための試作開発研究を積極的に実施しました。
これらの研究開発成果は、いずれも電磁に関連する機能材料やデバイス開発研究の根幹をなし、長期的観点からも必要不可欠な中核技術に関するものであり、また、第6期科学技術・イノベーション基本計画の基盤分野における研究の方向性に沿ったものです。
以上のことから、本法人の2022年度当初から開始される研究開発事業は、2022年3月に定時理事会で承認された新たな事業計画(2022年度から2026年度までの5年間の計画)に従い、前中期事業で得られた成果を最大限に生かし、その延長線上で、バルクおよび薄膜などの材料形態に囚われることなく、国内外の研究開発の動向を見定めつつ、高性能・高機能性を有する新規電磁材料の開発ならびに電気および電子デバイスの研究開発を進め、その実用化を図ることを事業方針とすることとしました。
研究テーマ
- 新機能電磁材料の研究開発
- デバイス用高機能材料の研究開発
- 次世代高次機能デバイスの研究開発
- 次世代バルク機能材料の開発およびその試作研究
- 高機能電磁薄膜材料およびデバイスの開発ならびにその試作開発研究
研究開発事業の実施体制
本法人の研究開発事業は、3研究開発部門、2開発施設および材料・デバイス開発技術相談室ならびに事業支援室で実施します。研究開発部門および開発施設の実施体制は、以下の通りです。
研究開発3部門
1.新機能材料創生部門
「研究開発テーマ」
新機能電磁材料の研究開発
ナノグラニュラー材料、多元素系・複合系・準安定相材料、人体有害元素などを除外し環境保全を図った材料,希少元素を代替した材料等をとり上げ、電気、磁気および光に関連する新機能性、高次機能性および複合機能性を発現する新たな材料の創生に関する研究開発を行います。なおこの際、マテリアルズ・インフォマティクスなどのデータ科学および放射光等を利用した新たな評価・分析法を積極的に導入します。
「構成分野」
- 電磁機能材料分野
- 光機能材料分野
- 高周波磁性材料分野
2.デバイス用高機能材料開発部門
「研究開発テーマ」
デバイス用高機能材料の研究開発
キーデバイスとして広く用いられているセンサ、アクチュエータ、電磁波デバイス、光化学デバイス、パワーエレクトロニクスデバイス等をとり上げ、その小型・軽量・省電力化を含めた高性能化を実現するため、機械学習等のデータ科学も利用し、デバイスを構成する電磁材料の高機能化および新規高機能電磁材料の開発に関する研究を実施します。
「構成分野」
- 光化学材料分野
- アクチュエータ材料分野
- センサ材料分野
- 電磁波デバイス材料分野
3.次世代高次機能デバイス開発部門
「研究開発テーマ」
次世代高次機能デバイスの研究開発
電気・電子機器の高品位化を図る上で重要性が今後益々高まると予想されるデバイス、例えば、情報の処理・制御デバイス、光デバイス、生体からの極微弱情報を検出し制御する生体情報デバイス、世界市場の成長が著しいウェアラブルデバイス等において、新たな原理および発想に基づく高次機能性を有するデバイスの創成・登場が熱望されていることから、これに応えるべくAI技術などのデータ科学を積極的に取り込んだ次世代高次機能デバイスの研究開発を実施します。
「構成分野」
- 情報処理・制御デバイス分野
- 光デバイス分野
- 生体情報デバイス分野
素形材開発施設およびデバイス開発施設
1.素形材開発施設
「研究開発テーマ」
次世代バルク機能材料の開発およびその試作開発研究
バルク機能材料に関する試作開発研究を実施し、その実用化の促進を図ります。また、各研究開発部門が進める研究開発における材料の試作および性能評価に関する支援ならびにバルク機能材料の更なる高性能化、製造・評価技術の開発および新たな用途開発研究を行います。
2.デバイス開発施設
「研究開発テーマ」
高性能電磁薄膜材料およびデバイスの開発ならびにその試作開発研究
薄膜電磁材料およびデバイスに関する試作開発研究を実施し、実用化の促進を図ります。また、各研究開発部門が実施する研究開発における薄膜電磁材料およびデバイスの試作、性能評価に関し全面的な支援を行うと共に、それらの製造技術および評価技術の開発を進めます。