バイモルフ型振動発電を想定した負磁歪軟磁性材料の開発に関する基礎検討
掲載日 2025年4月14日
発表者 阿部宏恒、後藤太一、直江正幸荒井賢一、石山和志
雑誌名等 日本磁気学会論文特集号・pp.74-78・8巻2号(2024)
概要

我々が提案する発電デバイスは,正磁歪材料の裏面へ負磁歪材料を接合したバイモルフ型カンチレバーである.バイモルフ構造にすることでより多くの発電量が得られると考える.FeGaを代表とした正磁歪材料は逆磁歪式振動発電へ向けた開発が進められているが,負磁歪材料の応用へ向けた検討は少ない.そこで,我々は負磁歪材料の中でも-103 ppmを超える超磁歪と,比較的大きな電気機械結合係数を有するSmFeに着目している.逆磁歪式振動発電に向けた磁歪材料には,微小な応力で磁化が回転する,軟磁気特性の優れた材料が求められている.しかし,SmFeは非常に大きな結晶磁気異方性により磁化回転が困難であり,多結晶バルク体での逆磁歪式振動発電への応用は向いていない.そこで,SmFeをスパッタ法により非晶質化し結晶磁気異方性を除去することで,微小な応力で磁化が回転する負磁歪軟磁性材料の実現が可能である.
本稿では,保磁力・磁歪定数・磁化回転に着目し開発した負磁歪軟磁性材料の特性と,開発した負磁歪軟磁性材料の発電特性を評価し,バイモルフ型発電デバイスへの有効性を検討した結果を述べる.

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