理事長よりご挨拶

小さな機能材料やデバイスから豊かな社会を!

本法人は、平成23年7月1日付で内閣府から公益財団法人としての認定を受け、名称を旧来の「財団法人電気磁気材料研究所」から「公益財団法人電磁材料研究所」へと改め、新たな出発をしました。この新法人の設立目的は、「電磁に関連する機能材料およびデバイスの研究開発を行うと共にその実用化を図り、学術および科学技術並びに産業の振興を通じて次世代社会の発展と幸福に資すること」であり、この目的の実現に向かって、全職員および関係者が一丸となって研究開発に励んでおります。

本法人の歴史は、昭和19年に設立された文部省所管の「財団法人航空計器材料試作研究所」に始まります。東北帝国大学の外郭研究組織として同大学金属材料研究所の本多光太郎所長指導の下、増本量博士らが発明したスーパーインバー、コエリンバー、アルフェル、センダスト、新KS磁石鋼などの特殊合金材料の航空機関係計測器への応用を目指す試作・工業化研究を使命としていました。第二次世界大戦終結後の昭和20年12月に、名称を「財団法人電気磁気材料研究所」に改め、その使命を平和時の計測工業の発展に寄与することを目的として、特殊合金を時計用ヒゲゼンマイや動力用ゼンマイ材料の実用化に成功することで、我が国の時計および計量器の高性能化に大きく貢献してきました。また、磁気記録再生用ヘッド材料は一時期市場の6割を占めるなど、その研究開発成果は高く評価されております。

本法人は創立以来主たる研究対象をバルク機能材料としてきましたが、平成期に入ってからは、薄膜機能材料およびそれらを用いたデバイスを新たな研究分野として加え、「独創的発想と創造的考察に基づいた研究開発を行うこと」を基本方針に研究開発を進めてきました。今後は、物質・材料がもつ本質的な機能的物性を有効に利用する電磁に関連する新たな高機能電磁材料を自らの手で探索し、それら材料を活用する新機能や次世代に必要な高機能かつ超小型電磁デバイスを開発してその実用化を図る研究を行うとともに、その有効な応用分野の開拓を進め、実用化のための試作研究にも一層の努力を傾注したいと考えております。得られた成果は、広く一般に公開して、学術及び科学技術ならびに産業の振興を通じて、公益財団法人として次世代社会の発展と幸福に寄与したいと考えておりますので、皆様のご教示とご支援を宜しくお願い致します。

早稲田嘉夫 公益財団法人電磁材料研究所理事長 工学博士
(2023年6月吉日 宮城県富谷市成田インダストリアルガーデンにて)

早稲田 嘉夫(わせだよしお)

公益財団法人 電磁材料研究所理事長 工学博士(東北大学)

1986年7月
東北大学選鉱製錬研究所 教授
1990年11月より
選鉱製錬研究所長・素材工学研究所長・多元物質科学研究所長を併任
2001年6月
財団法人電気磁気材料研究所 理事(2005年6月まで)
2002年11月
東北大学 副総長(総務担当)
2004年4月
東北大学 理事(中期計画・情報システム総括担当)
2009年3月
東北大学 停年退職・東北大学名誉教授
2010年6月
財団法人電気磁気材料研究所 理事(2011年6月まで)
2011年7月
公益財団法人電磁材料研究所 理事(2023年6月まで)
2023年6月
公益財団法人電磁材料研究所 理事長
その他、日本金属学会会長、資源・素材学会会長、日本学術会議(第3部)会員、カナダトロント大学・米国ペンシルバニア大学の客員教授等を務める。