研究開発グループ

研究開発グループでは、これまで本法人が蓄積してきた電磁材料に関する開発研究、独自技術の成果を踏まえ、それらをより一層深化させると共に、実用化研究により最適な応用分野の開拓に重点をおき、研究成果の社会還元を図り、公益法人としての役割を果たすことを目標としています。また、重要な国家プロジェクトにも積極的に参加することにより、学術的・社会的貢献を果たすことも目標としています。具体的には、各グループ毎に基礎・応用研究の研究事業を実施しており、その主な研究目的及びテーマは以下のとおりです。

電磁気材料グループ

本法人で開発した「ナノグラニュラー磁性膜」のさらなる展開を図り、従来材料には無い新しい機能性を有する新素材の創製を目指しています。ナノグラニュラー磁性膜は、模式図に示すように、粒径が数ナノメーターの微細な磁性金属粒子とそれを取り囲む絶縁体等の粒界相からなる微細なナノヘテロ複相構造を有しています。
@新機能性ナノヘテロ複相電磁材料の探索と特性の解明に関する研究
ナノグラニュラー薄膜の生成原理に基づき、作製方法の検討および組成の拡張を図り、均一分散したナノ磁性粒子とセラミックス粒界相からなり、磁性粒子とセラミックス相の2相間の相互作用効果による多機能性を持たせることによって、下図に示すような複数の機能性を同時に併せ持つ新規材料の創製を目指しています。
Aナノグラニュラー磁性膜の微細構造と特性との関係に関する研究
ナノグラニュラー磁性膜を磁気センサ(GIGS®)などの磁気デバイスに用いるため、実用的に重要な安定性や耐熱性、耐候性を検討します。
B室温で動作する生体磁気信号計測用薄膜磁界センサの開発
室温で微小磁界10-13T台前半の検出分解能を有する高周波キャリア型薄膜磁界センサの開発と、これを用いた心臓や脳などの生体磁気信号の計測を目指しています。

電磁気材料グループ
センサ材料グループ

本法人で開発したCr-N歪センサ膜およびFe-Pd温度センサ膜を利用する各種センサの開発と実用化を目指しています。
@Cr-N歪センサ膜を用いた各種小型力学量センサの開発と実用化研究
Cr-N歪センサ薄膜は、ゲージ率(歪感度=歪に対して抵抗値が変化する割合)が8〜14と大きく、抵抗温度係数(温度変化に対して抵抗値が変化する割合)は±50ppm/℃と小さいなどの優れた特長を有しており、これを用いて、圧力、荷重、加速度、トルク、力、変位などの各種力学量を計測するためのセンサの開発と実用化を進めています。表1に、その基本特性を従来の市販歪ゲージと比較して示します。
表1 Cr-N薄膜歪ゲージの基本特性表 A電気抵抗変化による温度センサ膜の開発と実用化研究
Fe-Pd温度センサ薄膜は、6500ppm/℃という大きな抵抗温度係数を有しており、これを用いた超小型温度センサおよび温度利用各種検知器等への応用を進めています。
B薄膜型3次元荷重ベクトルセンサの開発と実用化研究
上記歪センサ膜の応用として、作用する力(荷重)の方向と大きさを検知できる荷重ベクトルセンサを開発しました。このセンサを利用してさらに、人間の起立時のふらつき状態(重心動揺)、歩行時の重心移動、床からの反力(足底圧)および足底の接地状態等の生体情報を検出可能とする靴底センサの実用化を進めています。図1に荷重ベクトルセンサの説明図と靴底センサの写真を示します。

C2次元配列複合型薄膜触覚センサの開発と実用化研究
上記歪および温度センサ膜の複合化により、超小型・高精度の温度・歪(圧力)同時検知センサが構築可能であり、さらに2次元分布型の複合薄膜素子の開発から、ロボット、義手・義足ならびに人体装着型補助具など、将来必要と予測される温度検知機能付触覚センサ(皮膚感覚センサ)への応用を検討しています。

光材料グループ

特有の光学効果を発現するナノスケール半導体を機能性マトリクス中に分散させた、革新的な複合材料の開発を目指しています。
@高周波スパッタリング法による半導体/酸化物複合構造薄膜材料の研究
高周波スパッタリング法を用いて、酸化物マトリクス中に半導体ナノ粒子を分散させた複合材料薄膜の探索的研究を行っています。
Aホットウォールデポジション法(HWD)による半導体/半導体複合構造薄膜材料の研究
真空蒸着系の上記HWD成膜法を用いて、化合物半導体マトリクス中に半導体ナノ粒子を分散させた複合材料薄膜の探索的研究を行っています。
B微量元素添加によるマグネタイト薄膜の研究
マグネタイト(Fe3O4)薄膜作製手法として、微量元素添加による新しい方法(酸化物選択単相リアクティブ法)を提案し、新規機能性の探索研究を行っています。

デバイス開発グループ

当グループでは、本法人で発明された新規な機能薄膜をデバイス化し、センサ素子として世に送り出すミッションを担っています。 ナノグラニュラーTMR(Tunnel Magneto-Resistance)膜を用いた「GIGS®(磁気センサ、Nano-Granular In Gap Sensor)」及びセンサ材料グループで研究開発中の「Cr-N膜歪センサ」と「Fe-Pd膜温度センサ」、の三センサ素子について、当グループで安定試作技術を構築し、デバイス開発施設において素子試作を行い、実用化の促進を図っています。 更に、研究/開発/実証段階として、これらの機能薄膜の主たる物性・機能の信頼性に関連した基礎/応用研究を行っています。
1. センサ素子の開発 @ GIGS®素子:サンプル試作を外部機関へ提供(図1、図2)。
A Cr-N歪センサ素子とFe-Pd温度センサ素子:所定基板材上へ直接にセンサ素子を形成し、外部機関へ提供。
2. 機能薄膜の信頼性に関する研究
@ GIGS®素子:信頼性確保を目指し、素子での高温・長時間経過後の特性変化挙動の解明。
A ナノグラニュラーTMR膜:GIGS®素子のキィーとなるナノグラニュラーTMR膜のMR特性の温度変化挙動解析。
3. センサ素子の要素技術開発
@ GIGS®素子:素子化に必要な要素技術の内、主としてイオンビームエッチングによる任意形状を作製する技術開発の深耕(図3)。
A Cr-N素子とFe-Pd素子:有機材料から無機材料、金属合金などの広範な基材に対して、健全な素子を作製する要素技術の構築(図4)。

素形材開発グループ

近年、精密機器、精密制御機器用の機能性材料の開発への要望が強く、公的あるいは民間研究機関から本法人へ研究開発依頼が多く寄せられています。当研究グループでは、これらの社会的要望に広く応えるため、従来、本法人が蓄積してきた研究・技術基盤および知的財産を基に、研究・開発を実施しています。とくに、自動車産業界からは、地球環境問題への対応から、モータを初めとする電磁機器の効率向上や、軽量化のための小型化が強く求められており、高性能軟磁性材料や磁石材料の改良・開発が急務として強い要請を受けています。
@次世代磁性材料の開発研究
最近、現在使用されている軟磁性材料および磁石材料における問題の解決が重要になっており、資源的に少ない希有元素の使用量の削減、省エネルギーのための高性能化、軽量化が必要になってきています。この時代的要求に応えるため、当グループでは、車載デバイス用磁性材料の新規開発を目指しています。本法人は、1970年ごろからアモルファス軟磁性合金の製法および材料開発を実施してきており、その成果である知的財産、ノウハウおよび作製設備を有しています。
 このため、幾つかの公的研究プロジェクトへの参加や民間との共同研究を通して、高強度・高飽和磁化軟磁性材料の開発を行っています。
A高性能機能性材料の提供(試作開発研究)
最近、本法人が従来発明・発見した精密機器用機能性材料が再び注目されています。 例えば、過去に製品となっていた手巻き腕時計が再び高級腕時計として注目され、この時計の「動力ゼンマイ」および「ひげゼンマイ」の高強度・非磁性化が要望されています。
 この要望に応えて、本法人が以前に発明した「コエリンバー」を改良した高強度・非磁性ゼンマイ材料開発に向けて、付属の素形材開発施設において外部研究機関と協力して試作開発研究を実施しています。
B機能材料の調査試作研究
当研究グループでは、外部からの委託により、現有する各種測定装置を用いて諸物性の精密測定を行ったり、長期にわたり蓄積してきた技術あるいは材料に関する基礎知識を提供したり、委託材料の性能や特性の調査・試験研究を実施し、外部機関の研究開発に対する支援をおこなっています。
現在、取り扱っている測定および調査項目は以下の通りです。
1) 弾性特性、磁気特性、電気特性、機械的特性などの物性値の測定・評価
2) 熱分析による各種特性測定・評価
3) 材料の元素分析と解析評価
4) 物質・材料のX線・電子線による構造解析と分析評価
5) 実用材料の作製技術と特性の評価
6) 調査・試験のための試作・評価