財団法人・電気磁気材料研究所の歴史は、昭和19年その前身である「航空計器材料研究所」が設立された時から始まります。当時は太平洋戦争の真っ直中であり、航空機用計器をはじめ種々の計測機器の精度向上が最も緊急の課題になっていました。とりわけ、計測用材料としての磁性材料の性能向上が強く求められていました。当時の磁性材料の研究は、東北帝国大学金属材料研究所の本多光太郎所長を中心とした優れた研究陣により活発に行われ、KS磁石、新KS磁石、センダストなどの世界的発明が次々と発表されました。そのため、東北帝国大学の外郭団体として文部省所轄の「航空計器材料研究所」が設立されました。しかし、残念ながら設立直後に、戦災と敗戦により解体される運命に曝されましたが、本多先生を初め関係者の尽力により再建が図られ、昭和20年12月財団法人「電気磁気材料研究所」と改称され、存続することになり、現在に至っています。本年、設立から65周年を迎える伝統ある研究財団法人であります。
本所で行われた研究分野は、時代の要望に応じて変遷してきました。初期の研究分野は、戦後の平和産業の振興に貢献するために、精密機器用特殊金属材料の開発研究でありました。この研究は、設立時の専務理事であり、後に第3代理事長を勤めた増本量博士らが発明した時計用ヒゲゼンマイや動力用ゼンマイのエリンバー・インバー材料であり、わが国の時計、計量器などの高精度化に大きく貢献しました。これらの材料は半世紀過ぎた今日もまだ主要な精密機器用材料として多方面に利用されています。
次の転換は平成期に入ってからで、従来の溶融製造法とは異なる気相凝縮法を用いた超小型・高機能性薄膜とそれを用いたデバイス部品の開発研究分野であります。これは、「小さな機能材料・デバイスから豊かな社会を!」をキャッチフレーズの下で、次世代の新機能材料の開発を目指した独創的研究であります。すなわち、物質・材料がもつ本質的な物性機能を効果的かつ有効的に利用した新機能薄膜を自らの手で開発し、この新材料を用いた高性能・超小型素子やデバイスの応用展開を図り、次世代技術の開拓と社会への貢献を図ることを目指しています。
今後、公益財団法人としての社会貢献を目的として、次世代機能材料の開発に一層の努 力を続けたいと思いますので、皆様のご教示とご支援を宜しくお願い致します。